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東京地方裁判所 平成5年(特わ)1245号 判決

本店所在地

東京都練馬区旭町一丁目二二番六号

東邦通信工業株式会社

(右代表者代表取締役 杉山和)

本籍

東京都国分寺市西元町二丁目一一番

住居

東京都国分寺市西元町二丁目一一番三六号

会社役員

杉山義夫

大正一三年五月一六日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡邉清、弁護人安田隆彦(主任)各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人東邦通信工業株式会社を罰金一四〇〇万円に、被告人杉山義夫を懲役一〇月に処する。

被告人杉山義夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人東邦通信工業株式会社(以下「被告会社」という)は、東京都練馬区旭町一丁目二二番六号に本店を置き、電機通信工事の請負等を目的とする資本金三三七五万円の株式会社であり、被告人杉山義夫(以下「被告人」という)は、平成三年八月三一日までは被告会社の代表取締役として、同日以降は被告会社の実質的経営者として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注工事料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六二年一〇月一日から昭和六三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億七七一五万四一五一円(別紙1修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、昭和六三年一一月二九日、東京都杉並区天沼三丁目一九番一四号所在の所轄荻窪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九三一四万七〇三六円で、これに対する法人税額が三七〇七万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七二三五万二八〇〇円と右申告税額との差額三五二七万四七〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇三八三万八六一七円(別紙3修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年一一月二九日、前記荻窪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六〇九三万八三八五円で、これに対する法人税額が二三七七万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四一七八万五四〇〇円と右申告税額との差額一八〇〇万九三〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(六通)

一  寺内正夫の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の外注工事料調査書、受取利息調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、領置てん末書

一  登記官作成の登記簿謄本、閉鎖登記簿謄本(三通)

判示第一の事実について

一  古畑宏治の検察官に対する供述調書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成五年押第九三九号の1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成五年押第九三九号の2)

(法令の適用)

罰条

被告会社について 判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(ただし、罰金刑の寡額につき、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項)、二項(情状による)

被告人について 判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項(ただし、罰金刑の寡額につき、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項)

刑種の選択

被告人について 懲役刑

併合罪の処理

被告会社について 刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金二〇〇〇万円、被告人・懲役一〇月)

(裁判官 中里智美)

別紙1 修正損益計算書

No.1

〈省略〉

別紙 修正損益計算書

No.2

〈省略〉

別紙2 ほ脱税額計算書

〈省略〉

別紙3 修正損益計算書

No.1

〈省略〉

別紙 修正損益計算書

No.2

〈省略〉

別紙4 ほ脱税額計算書

〈省略〉

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